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朱家角バスターミナルに到着。
60分を少し超える所要時間は、“無事” を担保した結果と思えば気にするタイムオーバーではありません。

「今日はこの三日間で一番、お天気いいし」と、気分は上々です。

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普安路のバスターミナルと違って、ここにはバス待合室があって、ベンチや売店、そして、トイレという基本的な設備が整っています。

バスを下車して待合室に入ったのは、写真の通路を前方に進まないとターミナル正面玄関を出られない順路になっているからです。

その前に、写真の通路後方突き当たりにあるトイレに寄ることにします。

体験レポでは、「とてもトイレの体を成していない」トイレだと語られていましたが、それは3年くらい前の話。

もう、近代的なリニューアルが施されているかもしれない、というほのかな期待を込めて、トイレ案内マークに従って行きました。

あにはからんや……

個室が4個くらい並んでいて、「なーんだ、個室になってるじゃん」とは思ったのですが、全然、新しそうに見えないのはヤな予感。

しかも、どういう身分の人だか不明なオジサンが脚立にまたがって、向かって左端の個室ドアの上部蝶番の辺りをトンカチでトントンと修理作業をしている。

その脚立脇に立つ職員なのか近所の人なのか不明なオバサンが、オジサンに話しかけていて、世間話の談笑という感じでいる。

彼らは、新参者には全く、お構い無し。

個室のドアは「青/赤」のような使用中か否かの表示が設えていないようで、どうしようか迷う。

一番右端の個室から旅人風な女性が出てきたので、すれ違うようにその個室に入った。

う、う、うぅー

そうだったのか。

個室は単に、ドアと仕切り壁で個人を囲うだけだ。

便器は、便器は…… ない❗

そこは、和洋の様式に種別出来る代物の代わりに、何て言えばいいのか、白いタイルで出来ているU型側溝が、全個室を貫通しているだけの構造を確認するのみなのよ

負け惜しみを言うわけじゃありませんが、「やっぱりか」という慰めは出来るんです。

ただ、頭を慰めても、人生初。

見てはいけないモノや見たくないモノが流れてくるわけじゃないけれど、側溝のどちらに勾配があるのか判別できないほんのわずかな水が、小さなチョロチョロ音を立てている溝を見ているだけで、生唾が込み上がるよ

しかし、用を足さねば、旅は続行できない。

荷物棚もフックも、当然、ない。

リュックを背負ったまま、貴重品の詰まったポシェットを小脇に挟み、中腰よりも少し深く屈む体勢をとる。とてもじゃないが、溝に最接近するような和式スタイルのおしゃがみは出来ない。

初夏の装いは、下げる枚数が少なく、せめてもの慰めか。

いざ。

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こ、こ、これは想定外だ❗

入って直ぐに、「一体、なぜにこんなに削れているんだろう?」とは思ったけれど、そーっと掛けた錠前が、さっきのオジサンがトントンすると、その反動か、ギーっと自動ドアのように外側に向かって開いてしまう。

予め手にしていたティッシュを口に挟んで、左手を伸ばして錠前のフック部分を摘まんで押さえた

やー、スゴスギ

錠前をよーく観察すると、フック部分だけがやけにピカピカしている。

きっと、何年も前から、利用者の汗ばんだ指に摘ままれ続けているんだろうなぁ

古鎮って、そういうところなのだろうか……

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バスターミナル正面玄関には、バイクとか改造自転車の私設観光ガイドのような人たちもたむろしていますが、然程シツコイ勧誘はなく、気ままな散策のスタートです

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玄関の正面には「 朱家角古鎮」標識が立っていて、「ターミナルを背にして左方向に進む」調べの通りでした。

ここから徒歩で10分足らずの目的地へゴー❗

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心なしか、上海の街中と違って、この辺りは目立つ道標が少ない気がします。

ま、どこかでまた、右に曲がる目印が立っているでしょう。

それまでは直進です。

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道標は少ないですが、街の清掃員は上海と変わらない制服姿で作業しています。

手に持つホウキは、この地の特有のものでしょうか。

去年の秋までは彩る木々だった枝を切り落として、そのまま逆さにして掃き掃除しているのではないかと想像してしまうほど葉をたっぷり蓄えたホウキだなー。

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「尚都里 →」

確かに、前方右側にこの標識を見ました。

読めたし。

だけど、尚都里 = 朱家角古鎮 だとは思いもよらず、そのまま直進する歩みは続行。

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あ。熊本ラーメンだ。

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小さな橋がかかっているところまで来ました。

おぉぉ、古鎮、古鎮。

と思い込む風景が見られるようになりました。

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「市場」は読み取れた。

生鮮食品のスーパーマーケットなのかな。

店内見学をしたい気持ちもありましたが、寄り道は時間をみて、余裕があれば帰路に回しましょう。

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市場の入り口脇のお店。「点心」が読めたので覗いてみたら、パン屋さんだった

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なんだか、もう10分以上歩いている気がするころ漸く、「朱家角古鎮」の道標を前方に発見。

あの道標は右折を表してしているけれど、パーキング案内のようだ。

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パーキング案内を通り越すと、大きな交差点に差し掛かり、もう一度右折案内板を見つけた。

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交差点を渡ってから右方向に進んだ。

わ。

長閑な水田地帯と運河❗

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火炎樹も朱赤色の花が咲き誇っている。

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運河に架かる石橋が遠くに見える。

長閑だー❗

へー、朱家角って、こういうところなんだ。

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それにしても、誰もいない……

なんだか、オカシイ……

なんで、観光しているのが、ワタシ一人なんだろう?

ぇ。

ひょっとしたら、ワタシ、迷子

猛烈に疑わしい。

トラックとバスばかり行き交う道路沿いにバス停のベンチがあった。

今、ワタシには気を静める必要がある。

ベンチに座って、一服する。

漸く、まっぷるの朱家角ペイジを開く気になった。

しかし、ペイジの片隅に描かれたイラスト風なマップでは、現在地を定められない。

仕方なく、二日目にして利用を放棄していた非力な 1day海外 を接続する。

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GPS をオンにして、「現在地」を確認。

「現在地 → 朱家角」経路を検索すると、270m先に目的地があるように示された。

変だな。

そこは、さっき横断した大きな交差点から来て、2番目に渡った交差点だ。

行き先矢印に従うまでもない落胆。

その上、これだけしか使用していないのに「10Mが使用されました。30Mになりますと、接続スピードがダウンします。」と、まるで警告のようなショートメッセージを受信

やっぱ、使えない、1day海外

マジ、困ったなー

バスターミナルから徒歩で10分足らずのハズの3倍は歩いて来たよ、おそらく。

すると、少し先に、小型バイクにまたがってスマホをいじっている青年を見つけた。

二十歳前後かな。

黒っぽいTシャツにデニムではない柄パン姿のその人は、人通りのないここで、唯一の土地の人だ❗

(ここだけの話。軽装で、ちょっとイケてないあんちゃんって感じ(^o^;)

Excuse me

近づく前から大きな声で呼んだ。

はぁ?という感じでスマホから顔を上げて、ワタシに気がついてくれた。

Hi と言って、青年の前に立つ。

“I'm a stranger here. I might be a lost. a LOST❗”

と立て続けに言うと、ポカーンとしている。

“I need your help.” と言っても通じていないことが、ポカン顔でわかる。

でも、この青年を逃したらもう、ワタシは自分がどこにいるかもわからないまま、来た道を引き返すしかないのだ。

必死

もう、通じなくても一方的にプッシュだ。

“One moment, please.” と言いながら、手帳とボールペンを取り出した。

もはや、筆談に頼るしかない。

自分の胸を指差して、手帳に迷子 と書いて見せた。

青年が初めて、明確な声を発した。

『ヨ、ヨ、ヨア ネーム?』

低い声だった。

ぇぇー

一瞬、目眩がしそうになったよ

でも、待てよ。

ワタシは何処に行きたいのかをどう伝えたらいいんだ?

GPS では、ワタシが行きたい朱家角を示してくれなかったし。

ピンポイントで示すことの出来る地名が必要だ。

筆談に加えて、指差し作戦に切り替える。

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まっぷるの朱家角イラストマップを見せる。

さっきの「迷子」の『』の字を丸囲みして、もう一度、自分の胸を指差した。

そして、マップ上の朱家角中央にある “人文芸術館” をボールペンの先でつついて示した。

やっと、やっと、通じたようだ。

青年は持っていたスマホ、「あ。iPhoneだ❗」で場所検索を始めた。

人文芸術館を簡体文字に変換して打ち込んだ❗

へー。青年は、日本語漢字を理解してくれたんだ

青年のiPhoneマップはとても速やかに、現在地と人文芸術館の経路図を表したよ

すると、青年はバイクの後部を片手でポンポンした。

え、え、えーっ

後ろに乗れってこと

2ケツ

朱家角古鎮のどこにいるかわからない迷子のワタシには、こんな想定外が、待ち受けていたのか

古鎮ですよ、古鎮。

長閑な水田と運河が広がる古鎮で、見知らぬ朱家角の青年と2ケツ

青年のバイクは小型の電動バイクだった。

ノーヘル青年のバイクには、ワタシの分のメットは当然、ない。

戸惑うワタシに今度は、青年がiPhoneのマップを指差してから、バイク後部を再度、ポンポンした。

OK, Thank you !!

乗るしかないよねー。

またがるのは簡単だけど、電動バイク後部には、掴まるパーツがない。

もう、開き直った >自分に。

乗っかると、青年の肩を両手で肩もみ格好のように掴んだ。

青年は、ワタシの姿勢を確認すると、エンジン、モーターを掛けてスタートした。

タタタッと軽やかなモーター音だけが響いた。

途中、青年は、信号で停まる度にiPhoneマップの経路を示す線が進んでいる様子を見せてくれた。

5〜6分だったかなぁ。

横浜FCが、1点リードしたまま後半終了間際、相手の怒濤の攻めを堪える数分よりも遥かに長ーく、長ーく感じられる5〜6分だったなー

風を切る心地良さは感じた気もするけれど、どこを走っているかは、景色をiPhoneマップ画面と関連付ける余裕はなかったかも。

「あ。人文芸術館だ❗」

本当に人文芸術館の真正面に横付けしてくれた

バイクを降りると、ほんのお礼の気持ちを未開封ののど飴クロレッツにしようと思い付き、ポシェットを開けようとした。

ワタシの仕草を見ていた青年は、「no, no, no.」と言うような短い中国語を発して、片手を挙げるとすぐさま、電動バイクを方向変換して、来た道を走り出した。

Thank you for your kindness ! Thank you, Thank you so much !! Bye -bye By-bye

青年の後ろ姿にお礼を叫びながら、心の中では『あんちゃーん❗ ありがとねー❗ あんちゃーん、イケてなくないヨー❗ カッコイイー バイバーイ』と同時通訳してたな、ワタシ


〜これから朱家角観光をされる方へ〜
上海観光に “まっぷる” は大いに役立ちましたが、朱家角の手描き風イラストマップは、バスターミナル位置が実際とは違っているように思います。

マップ上のバスターミナルで、正面玄関を出て左に直進、途中右折という順路を辿ることは出来ないと思います。

バスターミナルを出て、左に直進。

5〜6分歩くと、交差点前方右側に縦長の道標「尚都里➡」を確認してください。

道標通りに右折をすると2〜3分で朱家角。ℹインフォメーションが進行方向右側にあります。

のんびり歩いても10分足らずの道程です。